「良い文章を書きたければ、名文を読んで書き写せ!」
筆者が文章を学び始めたとき、よくこういうセリフを耳にしました。
その時に思ったのが、「うまい文章を読んで、本当にその『うまさ』に気づけるのか」という疑問。
他の人がたどりつかない類まれな表現・描写がされている文章だからこそ、名文と呼ばれるわけです。となると、いち凡人である私がその文章を読んで書き写したとて、自分が扱える文章の型にはならない。
「自分の中に根づいた文章力」にはつながらないと思ったのです。
では、本も読まない・書く習慣もない私が、どのようにして文章力を高めていったのか。筆者の体験談を基にした方法をご紹介します。
はじめは「書く」にこだわらない
まず気づいたのが、何が「読みやすい文章」で、何が「読みにくい文章」なのか……、そもそもの判断基準がないということです。
自分は理解できているのに、他人には伝わっていないという経験をした方も多いと思います。
でも何がダメなのかと言われると、自分では分からない。
そうなると正直どう直していいのかも分かりませんよね。
同じような悩みにぶち当たった私は、そこで「書くだけじゃなく、いろんな文章をたくさん読む」ことを始めました。しかも、ただ漠然と読むのではなく、この文章はどこか良いのか・悪いのかを考えながら。
そうすることで、
・この文章はここが書けているから上手いんだ!
・こういう順番で書いているから理解しやすいのか!
・あ、前に見たポイントと同じように書いている!
といった感じに、自分の中の判断基準が徐々に増えていきます。
文章力は「書く力」だけでなく「読む力」も鍛えなければいけない。このことに気づけたのは、1つのターニングポイントだったと思います。
読む文章のジャンルは「何でもいい」
では、「読む力」を身に付けていくにはどんな文章を読めばいいのか……ですが、まず言えるのは「名文は不要」だということです。
世間にありふれた「普通の文章」で十分。友人でも知り合いでも会社の上司が書いた文章でも構いません。ジャンルも特に問わず、日記でもメールでもニュース記事でもOK。
ただ1つ、条件としては600字以上の長めの文章であることです。
(※理想は1,000~1,500字程度)
そういった文章の方が、良いところ・ツッコミどころが分かりやすいですし、文章の構成も参考にできます。短い文章だと構成の良し悪しが判断しにくいので、ある程度の段落の数がある文章を読むようにしましょう。
定着した基準を意識して、書く!
そうやっていろいろな文章を読んで判断基準を定着させながら、私は「書く」ことを並行していきました。
「読む」ばかりでは知識だけが先行して、いざ「書く」時に使いこなせない……というのはよくあります。良い道具を持っても、使いこなせる技量がないと宝の持ち腐れになるのと同じです。
ですので、自分の文章の型に落とし込むうえで「書く」ことはとても大切。
「判断基準を身に付ける → 実践する」を繰り返せば、文章力は身に付きます。これは私の経験から間違いなく言えることです。
最後に……
独特の表現を用いたほうが味が出る文体では名文を参考にできるので、まったく使えないというわけではありません。
特に小説や脚本など、オリジナリティが求められる文章では、いろいろなヒントになると思います。
ただ、「まず基礎を固めたい」という方は、ご紹介した方法で学んでみてはいかがでしょうか。
「判断基準を身に付ける」一助として、いろいろな方の意見が聞ける大阪編集教室も活用いただけたら幸いです。