コピーライターとライターの違い

コピーライターとライター。皆さんはこの2つの職業の違いをご存じでしょうか。
キャッチコピーのような短い文章を考えるのがコピーライターで、普通の文章を書くのがライター……。

かと言われると、そういうわけでもなく、コピーライターも長めの文章は書くし、ライターも見出しやタイトルなどの短い文章を書くことがあるのです。

でも、呼び名が違うように、その役割は本来違うはず。
ただ、いくつかの記事を見たのですが、扱う文章の長さや働く場所の違いなどに言及する記事ばかり。ざっくりと「広告系の文章書くのがコピーライターで、他の媒体はライター」ぐらいに捉えている方が多いのかもしれません。

実際はもっと深い部分で違うことがある、この2職種の違いをご紹介しましょう。

1.大きな違いは「コンセプト」を考えるかどうか

早速ですが、この見出しが答えだと考えています。
仕事内容に重なる部分はたくさんあるものの、大きな違いは「コンセプト」を考えるかどうかです。
ここで言う「コンセプト」とは、「発信したい対象物について、『どの部分を』『どのように』伝えていくかを決めた軸」のことです。

ライターの場合、多くは企画があって、構成要素もおおよそ決まっている状態で、詳細を伝える本文の執筆をお願いされるのが基本形。いわば、「コンセプトはこれだから、それに合った文章をお願いします」とオーダーされるのが多いお仕事です。(※もちろん例外はあります)

コピーライターの場合は、クライアントから「こういう商品で、こんな特徴があるんだけど、どう打ち出していけばいいかな?」という部分から依頼されることがあるお仕事。得た情報をまとめて伝えるだけではなく、「どういう切り口で伝えていけばいいのか」という発想力・視点の鋭さも求められることがある職業です。

時に、ライターも企画を考えることはあるのですが、それは「編集者も兼任している」状態。純粋なライターのお仕事としては、上記のような内容です。

2.具体的な作業の違い

ライターが文章を書く作業の種類は、大きく2つに分かれます。

取材が必要なタイプの原稿作成は、準備としてネットで事前に仕入れられる情報は整理し、それとは別に対象者の基本情報を得るためのアンケートを作成し、その回答から当日の質問内容を想定して取材へ向かい、その内容をまとめていきます。
資料をまとめるタイプの原稿作成は、いくつかの参考資料から目的(コンセプト)に合った情報をまとめて、それをできる限り端的に、かつ伝えたいことが分かるようにまとめます。

コピーライターが文章を書く時の作業は、ライターとあまり変わらないのですが、コンセプトを考える際は全く作業が違います。

広告を出したい対象物について、「同ジャンルの他のものはどうなのか」「その中でこの対象物はどんな特徴があるのか」「一般的なニーズはどんなものがあるのか」など、一種のマーケティングに近い作業をしながら、「この商品は、ここに強みがある!」という突破口を考えます。
この突破口こそが「コンセプト」であり、それをできる限りシンプルにまとめた言葉が「キャッチコピー」。コピーライターの花形的なお仕事です。

3.それぞれに求められる能力

ライターの業務の多くは、「取材」と「資料チェック」と「原稿執筆」。いかに多くの情報を集め、分かりやすくまとめられるかが勝負です。
そのためライター向きな方は、取材時に踏み込んだ内容を引き出す対話力、根気強く資料を確認していく忍耐力、原稿ができあがるまで気を抜かない集中力がある方だと感じます。

コピーライターは、広告として発信した時に、興味・関心が高まる伝え方を考える力が求められる職業。
そのため、他との違いをあぶり出すための探究力、人を振り向かす切り口を見つける鋭い着眼点、それらをシンプルかつ伝わる文章にすることば力がある方に向いている仕事ではないでしょうか。

ただ、これらの能力をプロになる前から全て身につけている方は、まずいません。
プロを目指す方は「自分の性格にはどっちが合うかな」程度の参考にしてもらいながら、選んでもらえればと思います。


最後に……

正直に言って、編集・出版業界、広告業界など文章に関わる人たちの中でも、その違いを認識されている方は多くないと思います。

特に一般の方たちからは、「思いついた言葉でキャッチコピーを書く人」というイメージを持たれることが多いコピーライター。本当はいろんなことを調べて、何時間も思いっきり考えながら、キャッチコピーを考えているんです……!
ライターも、聞いた話・調べた話をまとめて自由に書くのではなく、クライアントからのオーダーの意図をくみ取って書いていく、どちらもスキルと思考力のいる仕事です。

このコラムを読んでいただいた方の中で、それぞれの職業に対する印象が少しでも変われば幸いです。

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