文章力を効率よく強化するには

「文章力を高めたい」という方も、具体的に何から取り組めばいいのか分からないということが多いはず。
なぜなら「文章力」という単語自体が、1つの力ではなくいろんなスキルを包括した表現だからです。

「身体能力」が筋力だけでなく、敏捷性や手先の器用さのような能力まで含まれるのと同じで、文章にまつわる能力も同じくらい複合的にできているのです。

今回のコラムでは、この「文章力」を大阪編集教室独自の視点で分解。
どんな力がまとまっているのかを知れば、あなたの文章力を効率よく伸ばすことにつながるでしょう。

1.文章力は大きく、読む力・書く力の2つ

文章力というと、多くの方が「書く」にまつわる能力だけを気にしますが、それだけではありません。
「書く」までの間に、「このネタ面白いかな」や「どう書いたら分かりやすくなる?」など、読者の反応を考えながら読み返す力も非常に大切です。
そのため、文章力は「読む力」と「書く力」の両輪で鍛えるのがポイント

「うまくなるには、とにかく書くことだ!」と手当たり次第に名文を書き写したり、想いのまま文章を書き始めている方は一度ストップ。
一度、自分を振り返ってみましょう。

「スラスラ書けるけど、他人が読んで面白いのかな」と不安になった方は読む力の強化を。
「ネタはいいのに、うまく伝わるように書けないな」と感じている方は書く力の強化を。

まずはざっくりと、自分は読み書きのどちらが弱いのかを見極めることから始めましょう。

2.文章力強化は「読む」が絶対的な基礎

読み書きどちらが弱いかを判断したうえで、これから文章力を伸ばすにはどうすればいいか。
表現や語彙の種類、構成の工夫など、書く時に活かせる力を伸ばすのも有効ですが、何よりもまず「読む力」を鍛えることをオススメします。

その理由は「良し悪しの判断基準を作るため」です。

勉強しなくても文章が得意な人に共通するのは、「読む量が他人よりも多い」ということ。
その中で無意識のうちに、良いと思う文章の型や表現の基準を体得しているため、質の高いアウトプットにつながるのです。

芸人がネタを考えるために、誰かのネタを見たり、人間観察をする。
画家が絵を描くために、街中を歩いたり、美術館で過去の名作を見る。
ミュージシャンが曲を作るために、海外の楽曲を聴いたり、友人の話を聞いたりする。

これら全ては、ネタ探しと並行して、自分の中の「良いと思うもの」の判断基準を磨く行動です。

ライターにとって判断基準を身につけるための能力は「読む力」。
この基礎を磨き続けることが、文章力を高める第一歩です。

3.細分化した7つの力を段階的に鍛える

大きく分けると書く力・読む力の2つに分けられる文章力ですが、大阪編集教室なりの視点で細分化すると、以下の7つに分かれると考えています。

  • 読む力
    • 情報収集力(見聞きした情報をピックアップする)
    • 読解力(情報のカテゴライズする 等)
  • 書く力
    • 選択力(テーマを選ぶ、内容を選ぶ)
    • 構成力(ストーリーを作る)
    • 描写力(読者への伝え方を考える)
    • ことば力(描写に合う言葉を使う)
    • キャッチ力(読者心理をコントロールする)

下に行くほど難度の高いものになるのですが、先ほどのブロックでお伝えした「読む力がすべての基礎になる」というのは、この階層の考え方があるからです。

今まで豊富な語彙・表現方法を知っていても扱いきれなかった方は、この順を追って鍛えてみましょう。
勉強方法は、選択力なら「テーマ選びを考え尽くすぞ」、構成力なら「ストーリーを工夫するぞ」のように各段階を意識しながら執筆するという形でOK。

全体的に能力が高まっていけば、いつかその語彙・表現方法が活きるどころか、あなたにしか書けない視点の表現が出てくるかもしれません。


最後に……

今の自分の能力・実力を客観視することは、文章力を伸ばすためには非常に重要なことです。

漠然としていた文章力をフェーズに切り分けて考えることで、「自分に足りない力はこれか!」と意識するキッカケになれば幸いです。

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コピーライターとライターの違い

コピーライターとライター。皆さんはこの2つの職業の違いをご存じでしょうか。
キャッチコピーのような短い文章を考えるのがコピーライターで、普通の文章を書くのがライター……。

かと言われると、そういうわけでもなく、コピーライターも長めの文章は書くし、ライターも見出しやタイトルなどの短い文章を書くことがあるのです。

でも、呼び名が違うように、その役割は本来違うはず。
ただ、いくつかの記事を見たのですが、扱う文章の長さや働く場所の違いなどに言及する記事ばかり。ざっくりと「広告系の文章書くのがコピーライターで、他の媒体はライター」ぐらいに捉えている方が多いのかもしれません。

実際はもっと深い部分で違うことがある、この2職種の違いをご紹介しましょう。

1.大きな違いは「コンセプト」を考えるかどうか

早速ですが、この見出しが答えだと考えています。
仕事内容に重なる部分はたくさんあるものの、大きな違いは「コンセプト」を考えるかどうかです。
ここで言う「コンセプト」とは、「発信したい対象物について、『どの部分を』『どのように』伝えていくかを決めた軸」のことです。

ライターの場合、多くは企画があって、構成要素もおおよそ決まっている状態で、詳細を伝える本文の執筆をお願いされるのが基本形。いわば、「コンセプトはこれだから、それに合った文章をお願いします」とオーダーされるのが多いお仕事です。(※もちろん例外はあります)

コピーライターの場合は、クライアントから「こういう商品で、こんな特徴があるんだけど、どう打ち出していけばいいかな?」という部分から依頼されることがあるお仕事。得た情報をまとめて伝えるだけではなく、「どういう切り口で伝えていけばいいのか」という発想力・視点の鋭さも求められることがある職業です。

時に、ライターも企画を考えることはあるのですが、それは「編集者も兼任している」状態。純粋なライターのお仕事としては、上記のような内容です。

2.具体的な作業の違い

ライターが文章を書く作業の種類は、大きく2つに分かれます。

取材が必要なタイプの原稿作成は、準備としてネットで事前に仕入れられる情報は整理し、それとは別に対象者の基本情報を得るためのアンケートを作成し、その回答から当日の質問内容を想定して取材へ向かい、その内容をまとめていきます。
資料をまとめるタイプの原稿作成は、いくつかの参考資料から目的(コンセプト)に合った情報をまとめて、それをできる限り端的に、かつ伝えたいことが分かるようにまとめます。

コピーライターが文章を書く時の作業は、ライターとあまり変わらないのですが、コンセプトを考える際は全く作業が違います。

広告を出したい対象物について、「同ジャンルの他のものはどうなのか」「その中でこの対象物はどんな特徴があるのか」「一般的なニーズはどんなものがあるのか」など、一種のマーケティングに近い作業をしながら、「この商品は、ここに強みがある!」という突破口を考えます。
この突破口こそが「コンセプト」であり、それをできる限りシンプルにまとめた言葉が「キャッチコピー」。コピーライターの花形的なお仕事です。

3.それぞれに求められる能力

ライターの業務の多くは、「取材」と「資料チェック」と「原稿執筆」。いかに多くの情報を集め、分かりやすくまとめられるかが勝負です。
そのためライター向きな方は、取材時に踏み込んだ内容を引き出す対話力、根気強く資料を確認していく忍耐力、原稿ができあがるまで気を抜かない集中力がある方だと感じます。

コピーライターは、広告として発信した時に、興味・関心が高まる伝え方を考える力が求められる職業。
そのため、他との違いをあぶり出すための探究力、人を振り向かす切り口を見つける鋭い着眼点、それらをシンプルかつ伝わる文章にすることば力がある方に向いている仕事ではないでしょうか。

ただ、これらの能力をプロになる前から全て身につけている方は、まずいません。
プロを目指す方は「自分の性格にはどっちが合うかな」程度の参考にしてもらいながら、選んでもらえればと思います。


最後に……

正直に言って、編集・出版業界、広告業界など文章に関わる人たちの中でも、その違いを認識されている方は多くないと思います。

特に一般の方たちからは、「思いついた言葉でキャッチコピーを書く人」というイメージを持たれることが多いコピーライター。本当はいろんなことを調べて、何時間も思いっきり考えながら、キャッチコピーを考えているんです……!
ライターも、聞いた話・調べた話をまとめて自由に書くのではなく、クライアントからのオーダーの意図をくみ取って書いていく、どちらもスキルと思考力のいる仕事です。

このコラムを読んでいただいた方の中で、それぞれの職業に対する印象が少しでも変われば幸いです。

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読みたくなる文章にする3ポイント

どれだけ整った文章でも、どれだけオシャレな表現がされている文章でも、読み進めるのがつらくなるものがあります。
それは、「テーマ自体が面白くない」文章です。

書く上で何よりも大切なこの「読みたくなる気持ちにさせる」テーマの見つけ方と、それを上手に伝えるために考えるべきことを、3つのポイントでお伝えします。

1,”心”が動いた瞬間を大切にする

小学校のころに書いた読書感想文。私は、この宿題が本当に嫌いでした。
「なんで無理やり書かされるんだ」と思い、あとがきをほぼ写して「面白かった」で締めるという乱暴な形で提出したこともあります。
でも、SNSにはそこそこ投稿している……。ということは、書くことに抵抗があるわけではないのです。

ではなぜ、読書感想文は苦痛だったのか。

それは「何も感じていないのに書かされるから」に他なりません。
「良い」と思えていないものについて書こうとするから難しかった。だから嫌で仕方なかったんだと、今になれば分かります。

つまり、書くべきタイミングはその逆。
「何かを感じた時(=感動した時)が、文章を書くタイミング」なのです。

嬉しい・楽しい・悲しい・むかつく・泣く・無になれる……など、自分の”心”が動く瞬間は何なのか。まずそれを意識することが、読みたくなる文章を書くためのスタートです。

2.読後に感じてもらいたいことは何か

自分の”心”の動きに気づいた後、「じゃあその想いの全てを書けば読みたくなる文章になるのか……」というと、そういうわけではありません。

想いのままに書くと、いろんなことを話しすぎてしまい、「結局何が言いたかったの?」という文章になってしまうからです。

ここで大事なのが「自分はこれを伝えたいんだ!」という一番のポイントを決めておくこと
感動ポイントを1つに決めたうえで、そこが最も際立つように書いていく。すると、読者にもあなたの感動が伝わりやすくなるのです。

「あれも言いたい!」
「感動したのはそこだけじゃないんだ!」
その気持ちはすごく分かるのですが、伝えたいことがはっきりわかる文章でないと読みたいと思われないのです。

この工程がバチッと決まれば、読者を引き込める文章になっていきます。

3.一つひとつをていねいに描写する

2つ目のポイントまでをクリアすれば、あと一歩。
細かな描写していくことで、あなたの文章はさらに磨かれていきます。

具体的かつ臨場感たっぷりに書けると、読みたくなる文章を超え、読者の心をも動かせる文章へとなっていくのです。では、「ていねいに描写する」というのはどういうことなのでしょうか。

例えば……

気温が下がり落ち葉も増えてきたので、冬が近くなってきたと感じる。

布団からなかなか出られない朝。公園で山のように積もっている落ち葉。冬が近くなってきたと感じる。

では、明らかに後者の方が臨場感のある文章です。

単に「気温が下がった・落ち葉が増えた」という情報を書くのではなく、感じたこと・見たことを具体的に書く。リアルな描写かつ共感できる内容であればあるほど、読者はその世界に入り込めるようになっていきます。


最後に……

これらのポイントをいきなり全て押さえて「書く」のは、非常に難しいものです。
なので、まずは「読む」から始めることをオススメします。
普段目にする文章(ニュースでもコラムでも)を読むときに、「ポイントを押さえられているかな?」と考えながら読むだけでも、すごく変化が出てきます。

そして、その意識が十分定着した後に一度書いてみましょう。読み返したときに自分の文章でも気になる点が出てくるはず。これを繰り返していくことで、あなたならではの視点が盛り込まれた「読みたくなる文章」へと徐々に変化していきます。

あなたのオリジナリティが感じられる作品になることでしょう。

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文章を整える3つのチェックポイント

ライターの書く「良い文章」というのは、破たんがなく、伝えたい内容が読み取りやすい文章です。そういった文章にするために、押さえておくべきポイントを3つご紹介します。

どれも基本的なことですが、意識すれば文章の質が変わりますので、改めて確認しておきましょう。

1.時系列を確認する

時系列が自然でない文章は、読者の想像力を必要以上に使わせてしまいます。読むのに疲れる文章といえるでしょう。読み進めると時間が進んでいく構成にすることは基本中の基本。

もちろん、狙いがあって時系列を変えている場合は大丈夫ですが、あまり複雑にならないようにしましょう。

2.文章のリズムを意識する

心の中で文章を読んでいるときも「リズムの良さ」は影響します。一文の長さが長短バランスよくつながる記事は、読んでいても理解がスムーズです。短い文を軸に、たまに長い文をはさむのが、読んでいて心地よいリズムを生み出します。

語尾も変化させて、単調にならないようにしましょう。

3.ダブり表現をなくす

「同じ内容を別の言葉で複数書いている」というのは、意外と頻発します。

例えば「私は幸運のラッキーアイテムを手に入れた」という一文。
「幸運のラッキーアイテム」というのは、「幸運のアイテム」でも「ラッキーアイテム」でも通じます。
違和感なく読めてしまうため、見落としてしまいやすいダブり表現です。

こういったダブりが多いと、文章がなかなか進まない印象を与えます。それだけでなく、文字数に制限があるものでは、非常にもったいない数文字です。
文章単位で読み返す際は、同じ内容が複数書かれていないかをチェックしましょう。


最後に……

以上に書いたことは、プロでも見落とす場合があることです。特に書いている途中は、何度も読み返すため気づきにくい傾向にあります。
完成したタイミングですぐに発表せず、必ず時間を置いてから、一度読み返すようにしましょう。

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ライターとして身につけるべき3つの考え方

ライターの募集は新卒、もしくは経験者のみの求人が大半です。
「経験はないし、新卒でもないから、ライターになるのは無理なのかな」とお思いの方、そういうわけでもありません。自分をアピールできる作品・記事があれば、採用側の目に留まることもあるのです。
これからライターになりたい方に、身につけておくべき基本的な3つの考え方をお教えします。

1.文章は「削って書くもの」という意識を持つ

プロのライターが文章を書くときの、基本となる考えといっても過言ではありません。

手順としては、まず箇条書きでもいいので「書きたいこと」を全て言語化・文章化すること。そこからメインで取り上げたいテーマに沿って、不要な内容を削ることで、無駄なく読みやすい文章にしていくのです。
どんなライターも一発で完成形を書けるわけではありません。日頃からこの考え方を実践していきましょう。

2.「うまい表現」が「良い文章」と思わない

独特の表現をすることも、もちろん一つのテクニックです。しかし、作家と違って、ライターは「誰かに情報を届けること」がメインですので、一番は「分かりやすい」ことを意識するべきです。できるだけ簡単な言葉を組み合わせることで、豊かな表現にするのが理想です。

くれぐれも、小難しい言葉を使って、カッコつけた文章にならないように、気を付けましょう。

3.文章が批評されることを拒否しない

この考え方を身につけるには、慣れる以外に方法はないと思います。

「私はこんな思いで書いたのに、全然分かっていない!」と、最初は大きく拒否反応を示してしまうこともあるでしょう。特に時間をかけて書いた文章に対する批評は、なかなか受け入れがたいもの。しかし、そこは「自分の文章を良くしてくれるための意見」と割り切って、批評慣れしておくことも大切です。


最後に……

ライターといえばとかく「文章力がある人」と思われがちですが、実はこの基本の考え方がしっかりしているかが重要。
文章力アップの前に今回記載した3点意識して、ライターの考え方を身につけましょう。

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