読みたくなる文章にする3ポイント

どれだけ整った文章でも、どれだけオシャレな表現がされている文章でも、読み進めるのがつらくなるものがあります。
それは、「テーマ自体が面白くない」文章です。

書く上で何よりも大切なこの「読みたくなる気持ちにさせる」テーマの見つけ方と、それを上手に伝えるために考えるべきことを、3つのポイントでお伝えします。

1,”心”が動いた瞬間を大切にする

小学校のころに書いた読書感想文。私は、この宿題が本当に嫌いでした。
「なんで無理やり書かされるんだ」と思い、あとがきをほぼ写して「面白かった」で締めるという乱暴な形で提出したこともあります。
でも、SNSにはそこそこ投稿している……。ということは、書くことに抵抗があるわけではないのです。

ではなぜ、読書感想文は苦痛だったのか。

それは「何も感じていないのに書かされるから」に他なりません。
「良い」と思えていないものについて書こうとするから難しかった。だから嫌で仕方なかったんだと、今になれば分かります。

つまり、書くべきタイミングはその逆。
「何かを感じた時(=感動した時)が、文章を書くタイミング」なのです。

嬉しい・楽しい・悲しい・むかつく・泣く・無になれる……など、自分の”心”が動く瞬間は何なのか。まずそれを意識することが、読みたくなる文章を書くためのスタートです。

2.読後に感じてもらいたいことは何か

自分の”心”の動きに気づいた後、「じゃあその想いの全てを書けば読みたくなる文章になるのか……」というと、そういうわけではありません。

想いのままに書くと、いろんなことを話しすぎてしまい、「結局何が言いたかったの?」という文章になってしまうからです。

ここで大事なのが「自分はこれを伝えたいんだ!」という一番のポイントを決めておくこと
感動ポイントを1つに決めたうえで、そこが最も際立つように書いていく。すると、読者にもあなたの感動が伝わりやすくなるのです。

「あれも言いたい!」
「感動したのはそこだけじゃないんだ!」
その気持ちはすごく分かるのですが、伝えたいことがはっきりわかる文章でないと読みたいと思われないのです。

この工程がバチッと決まれば、読者を引き込める文章になっていきます。

3.一つひとつをていねいに描写する

2つ目のポイントまでをクリアすれば、あと一歩。
細かな描写していくことで、あなたの文章はさらに磨かれていきます。

具体的かつ臨場感たっぷりに書けると、読みたくなる文章を超え、読者の心をも動かせる文章へとなっていくのです。では、「ていねいに描写する」というのはどういうことなのでしょうか。

例えば……

気温が下がり落ち葉も増えてきたので、冬が近くなってきたと感じる。

布団からなかなか出られない朝。公園で山のように積もっている落ち葉。冬が近くなってきたと感じる。

では、明らかに後者の方が臨場感のある文章です。

単に「気温が下がった・落ち葉が増えた」という情報を書くのではなく、感じたこと・見たことを具体的に書く。リアルな描写かつ共感できる内容であればあるほど、読者はその世界に入り込めるようになっていきます。


最後に……

これらのポイントをいきなり全て押さえて「書く」のは、非常に難しいものです。
なので、まずは「読む」から始めることをオススメします。
普段目にする文章(ニュースでもコラムでも)を読むときに、「ポイントを押さえられているかな?」と考えながら読むだけでも、すごく変化が出てきます。

そして、その意識が十分定着した後に一度書いてみましょう。読み返したときに自分の文章でも気になる点が出てくるはず。これを繰り返していくことで、あなたならではの視点が盛り込まれた「読みたくなる文章」へと徐々に変化していきます。

あなたのオリジナリティが感じられる作品になることでしょう。

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「普通に読める文章」を書く難しさ

今の時代はとにかく情報の鮮度ばかりが優先されていて、無数の「書き手」があふれる世の中になりました。ただそれと同時に、ニュースサイト等で「読みにくい文章」が世にあふれるようになったとも感じています。

ライターは「日本語を書ければ名乗れる職業」であるのは事実です。
ですが、そこに「プロ」と「そうでない方」の線引きは確実に存在します。

今回は、「普通に読める文章」に詰まったプロの技術を「一段落」・「一文」・「一単語」の3つの視点からご紹介します。

<一段落>構成順の工夫を知る

伝えたいテーマ・エピソードを「どの順番で伝えるか」は、読者の印象に大きな影響を与えます。

例えば、シンプルに時系列で伝えると、淡々とした印象になりやすいので、状況を正しく説明するのに効果的です。
逆に、「現在」を書きながら、途中で回想シーンに入って「過去」に戻り、「現在」に戻るといった時系列の場合。これは、現在と過去の対比がより明確になるので、情景がドラマチックに見えてきます。

構成順を工夫することは、読者をどのような心情にしたいのかを考えること。つまり、読者の集中力を高めていく工夫といえます。

<一文>修飾語と被修飾語の関係性を見る

読みやすい文章を書く上で一番難しいと思うのが、「修飾語と被修飾語」の関係性です。
会話だと声の抑揚で表現できますが、文章の場合、この関係性が明確でないと、読解に時間がかかり、頭を使ってしまう文章になります。

例文を作ってみましたので、見てみましょう。

【原文】
特に、こだわりがすごい○○さんが作る料理の中でも、ビーフシチューが美味い。

という文章があった場合、「特に」という言葉は
・「こだわりのすごさ」にかかっているのか
・「ビーフシチューの美味さ」にかかっているのか

不明瞭な文章になっています。
はっきりするには、

【「こだわりのすごさ」にかかる場合】
こだわりが特にすごい○○さんが作る料理の中でも、ビーフシチューが美味い。

【「ビーフシチューの美味さ」にかかる場合】
こだわりがすごい○○さんが作る料理の中でも、特にビーフシチューが美味い。

と修飾したい語句の直近に持ってきてあげることで明確になります。

「どういう順番で単語を置くと、一発で内容を理解してもらえるか」。
単語を上手に並び替える能力も、ライターとしては必要なスキルです。

<一単語>ひらがなと漢字の使い分けに注目する

媒体での決まりがない限り、ライターは普通、ひらがなと漢字を使い分けています。普段何気なく変換してしまう文字も、ひらがなで表現することで柔らかさを出したり、読みやすくなったりするものです。

例えば、

2020年の目標は、様々な場所に赴いて、色んな人に出会うことです。

2020年の目標は、さまざまな場所に赴いて、いろんな人に出会うことです。

という文章だと、下の文章の方が読みやすいと思いませんか?

文章は読みものとはいえ、「読みたくなるか」の第一印象は視覚です
そのため、漢字を使うか、ひらがなを使うか、カタカナを使うか、ライターは「文章全体のバランス」を見るスキルも求められます。

一単語の漢字一つをとっても、ライターのこだわりがあるということを気にしながら読んでみると、文章の違った面白さが見えてくるのではないでしょうか。


最後に……

ライターが書く「文章」は、
・一段落では「読者の集中力」
一文では「文章の理解しやすさ」
一単語では「言葉の持つイメージ」
を意識したテクニックが細やかにちりばめられています。

だからこそ「普通に読める文章」には価値があり、誰にでも書ける文章ではないといえるのです。

日本語を扱える誰もが文章を書けるだけに、絵のデザインと違って、これらのすごさは伝わりにくいものです。文章を学ぶ必要性が、こういったことから少しでも伝われば幸いです。

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文章力を高めるのに、名文は必要ない

「良い文章を書きたければ、名文を読んで書き写せ!」
筆者が文章を学び始めたとき、よくこういうセリフを耳にしました。
その時に思ったのが、「うまい文章を読んで、本当にその『うまさ』に気づけるのか」という疑問。

他の人がたどりつかない類まれな表現・描写がされている文章だからこそ、名文と呼ばれるわけです。となると、いち凡人である私がその文章を読んで書き写したとて、自分が扱える文章の型にはならない。
「自分の中に根づいた文章力」にはつながらないと思ったのです。

では、本も読まない・書く習慣もない私が、どのようにして文章力を高めていったのか。筆者の体験談を基にした方法をご紹介します。

はじめは「書く」にこだわらない

まず気づいたのが、何が「読みやすい文章」で、何が「読みにくい文章」なのか……、そもそもの判断基準がないということです。

自分は理解できているのに、他人には伝わっていないという経験をした方も多いと思います。
でも何がダメなのかと言われると、自分では分からない。
そうなると正直どう直していいのかも分かりませんよね。

同じような悩みにぶち当たった私は、そこで「書くだけじゃなく、いろんな文章をたくさん読む」ことを始めました。しかも、ただ漠然と読むのではなく、この文章はどこか良いのか・悪いのかを考えながら。

そうすることで、
・この文章はここが書けているから上手いんだ!
・こういう順番で書いているから理解しやすいのか!
・あ、前に見たポイントと同じように書いている!
といった感じに、自分の中の判断基準が徐々に増えていきます。

文章力は「書く力」だけでなく「読む力」も鍛えなければいけない。このことに気づけたのは、1つのターニングポイントだったと思います。

読む文章のジャンルは「何でもいい」

では、「読む力」を身に付けていくにはどんな文章を読めばいいのか……ですが、まず言えるのは「名文は不要」だということです。

世間にありふれた「普通の文章」で十分。友人でも知り合いでも会社の上司が書いた文章でも構いません。ジャンルも特に問わず、日記でもメールでもニュース記事でもOK。
ただ1つ、条件としては600字以上の長めの文章であることです。
(※理想は1,000~1,500字程度)

そういった文章の方が、良いところ・ツッコミどころが分かりやすいですし、文章の構成も参考にできます。短い文章だと構成の良し悪しが判断しにくいので、ある程度の段落の数がある文章を読むようにしましょう。

定着した基準を意識して、書く!

そうやっていろいろな文章を読んで判断基準を定着させながら、私は「書く」ことを並行していきました。

「読む」ばかりでは知識だけが先行して、いざ「書く」時に使いこなせない……というのはよくあります。良い道具を持っても、使いこなせる技量がないと宝の持ち腐れになるのと同じです。

ですので、自分の文章の型に落とし込むうえで「書く」ことはとても大切
「判断基準を身に付ける → 実践する」を繰り返せば、文章力は身に付きます。これは私の経験から間違いなく言えることです。


最後に……

独特の表現を用いたほうが味が出る文体では名文を参考にできるので、まったく使えないというわけではありません。
特に小説や脚本など、オリジナリティが求められる文章では、いろいろなヒントになると思います。

ただ、「まず基礎を固めたい」という方は、ご紹介した方法で学んでみてはいかがでしょうか。
「判断基準を身に付ける」一助として、いろいろな方の意見が聞ける大阪編集教室も活用いただけたら幸いです。

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文章を整える3つのチェックポイント

ライターの書く「良い文章」というのは、破たんがなく、伝えたい内容が読み取りやすい文章です。そういった文章にするために、押さえておくべきポイントを3つご紹介します。

どれも基本的なことですが、意識すれば文章の質が変わりますので、改めて確認しておきましょう。

1.時系列を確認する

時系列が自然でない文章は、読者の想像力を必要以上に使わせてしまいます。読むのに疲れる文章といえるでしょう。読み進めると時間が進んでいく構成にすることは基本中の基本。

もちろん、狙いがあって時系列を変えている場合は大丈夫ですが、あまり複雑にならないようにしましょう。

2.文章のリズムを意識する

心の中で文章を読んでいるときも「リズムの良さ」は影響します。一文の長さが長短バランスよくつながる記事は、読んでいても理解がスムーズです。短い文を軸に、たまに長い文をはさむのが、読んでいて心地よいリズムを生み出します。

語尾も変化させて、単調にならないようにしましょう。

3.ダブり表現をなくす

「同じ内容を別の言葉で複数書いている」というのは、意外と頻発します。

例えば「私は幸運のラッキーアイテムを手に入れた」という一文。
「幸運のラッキーアイテム」というのは、「幸運のアイテム」でも「ラッキーアイテム」でも通じます。
違和感なく読めてしまうため、見落としてしまいやすいダブり表現です。

こういったダブりが多いと、文章がなかなか進まない印象を与えます。それだけでなく、文字数に制限があるものでは、非常にもったいない数文字です。
文章単位で読み返す際は、同じ内容が複数書かれていないかをチェックしましょう。


最後に……

以上に書いたことは、プロでも見落とす場合があることです。特に書いている途中は、何度も読み返すため気づきにくい傾向にあります。
完成したタイミングですぐに発表せず、必ず時間を置いてから、一度読み返すようにしましょう。

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ライターとして身につけるべき3つの考え方

ライターの募集は新卒、もしくは経験者のみの求人が大半です。
「経験はないし、新卒でもないから、ライターになるのは無理なのかな」とお思いの方、そういうわけでもありません。自分をアピールできる作品・記事があれば、採用側の目に留まることもあるのです。
これからライターになりたい方に、身につけておくべき基本的な3つの考え方をお教えします。

1.文章は「削って書くもの」という意識を持つ

プロのライターが文章を書くときの、基本となる考えといっても過言ではありません。

手順としては、まず箇条書きでもいいので「書きたいこと」を全て言語化・文章化すること。そこからメインで取り上げたいテーマに沿って、不要な内容を削ることで、無駄なく読みやすい文章にしていくのです。
どんなライターも一発で完成形を書けるわけではありません。日頃からこの考え方を実践していきましょう。

2.「うまい表現」が「良い文章」と思わない

独特の表現をすることも、もちろん一つのテクニックです。しかし、作家と違って、ライターは「誰かに情報を届けること」がメインですので、一番は「分かりやすい」ことを意識するべきです。できるだけ簡単な言葉を組み合わせることで、豊かな表現にするのが理想です。

くれぐれも、小難しい言葉を使って、カッコつけた文章にならないように、気を付けましょう。

3.文章が批評されることを拒否しない

この考え方を身につけるには、慣れる以外に方法はないと思います。

「私はこんな思いで書いたのに、全然分かっていない!」と、最初は大きく拒否反応を示してしまうこともあるでしょう。特に時間をかけて書いた文章に対する批評は、なかなか受け入れがたいもの。しかし、そこは「自分の文章を良くしてくれるための意見」と割り切って、批評慣れしておくことも大切です。


最後に……

ライターといえばとかく「文章力がある人」と思われがちですが、実はこの基本の考え方がしっかりしているかが重要。
文章力アップの前に今回記載した3点意識して、ライターの考え方を身につけましょう。

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年末年始の事務局対応について

平素は格別のお引き立てをいただき厚くお礼申し上げます。
大阪編集教室では、誠に勝手ながら下記日程を年末年始休業とさせていただきます。

休業期間2022年12月27日(火)~2023年1月4日(水)

2023年1月5日(木)から通常通りの営業となります。
メールでのお問い合せは1月5日より順次ご対応させていただきます。

夏季休業のお知らせ

平素は格別のお引き立てをいただき厚くお礼申し上げます。
大阪編集教室では、誠に勝手ながら下記日程を夏季休業とさせていただきます。

夏季休業期間8月11日(木)~8月15日(月)

休業期間中にいただいたお問合せについては、営業開始日以降に回答させていただきます。
皆様には大変ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解の程お願い申し上げます。

クレジットカード決済導入のお知らせ

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

大阪編集教室の受講料のお支払いについて、これまでは銀行振込のみの決済でしたが、7月15日(金)よりクレジットカード決済を導入いたします。

それに伴い、一部講座において分割払いできるプランをご用意いたしました。
ご興味のある方はぜひ下記よりご確認ください。
(※分割払いは「クレジットカード」決済のみのプランになります)

教室事務局 移転完了のお知らせ

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

本日、7月1日(金)より教室事務局を移転いたしました。
新しい事務局は下記になりますので、ご確認ください。

【事務局】
「本町駅」2番出口より徒歩4分

〒541-0048 大阪府大阪市中央区瓦町4-3-14
御堂アーバンライフ 316号

詳細はアクセスページをご覧ください。

6月28~30日:事務局移転に伴う臨時休業のお知らせ

平素は格別のお引き立てをいただき厚くお礼申し上げます。

大阪編集教室では7月1日からの事務局移転に伴い、下記日程を臨時休業とさせていただきます。

臨時休業期間6月28日(火)~6月30日(木)

休業期間中にいただいたお問合せについては、営業開始日以降に回答させていただきます。
皆様には大変ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解の程お願い申し上げます。